Mar 30, 2023
『以前に話し方のコーチングを貰ったことがあるんですが、手についてはその時教えていただいていなくて。どうしたらいいんですか?』とある日本企業CEOの方のプレゼンコーチングの中で、質問を受けました。どんな聴き手にも刺さる完璧なプレゼンは存在しえないように、手の位置やジェスチャーの量にも完璧な答えはありません。聴き手にとってご自身がどう見えたいのか、どんな印象を与えたいのか、目的によって、変わるためです。力強いのか、ソフトな中にも熱があるのか、明るくワクワクさせる、冷静論理的、そのほかにも色々な印象タイプがありますが、プレゼンをする限り、説得力や信頼性高く、メッセージ性のある、というのは共通して求められるポイントかと思います。今日は、説得力を高める手の使い方、についてお話をしましょう。まずは手の位置についてですが、代表的なものに『下腹部付近に置く』というものがあります。よく見るのは、片方の手でこぶしを作り、もう片方の手でそれを包み、このように、下腹部のあたりにそっと、置いておくスタイルです。少し柔らかさを、ということで、こぶしではなくふわっと持たれる方もいらっしゃいます。人によってはこのように、腰の高さにおかれる方もいらっしゃいます。個人的に私が好きなのは、このように、下げてしまうスタイルです。幾つか理由はありますが、個人的な最大理由は、腕の重さがお腹にかかって息が吸いづらくて邪魔、と感じてしまうことです。どちらが正しい、という訳ではありません。最も大切なのは、リラックスできる状態まで、『型』が標準化されていることです。中には手をぶらっとさせているとどうしても落ち着かないという方がいらっしゃいます。その場合、コントロールのきかない手の動きを封じる為に先述のように組んでしまってもいいでしょう。もし、プレゼンターとしてのご自身の目的が、聴き手と更に繋がりを深める、ということでしたら、手を下すことに挑戦してみてください。両手を体の前においておくと聴衆とスピーカーの間に心理的な壁を作ることにもなります。心理的とは面白いもので、聴き手がそれを意識している、していないに関わらず、潜在的なメッセージを脳に届けてしまうのです。ですから、なるべく聴き手と我々の間に物理的障害になるものを取り払うことをお勧めします。例えば、演壇や原稿、アイパッドを取り払い、上から下までしっかり見える、隠しが一切ない聴き手への透明度100%の状態で、聴き手への『歓迎』を、自信をもって示してあげてください。ジェスチャーについては如何でしょうか。
ジェスチャーのやりすぎや、いつも同じジェスチャーばかり。これもプレゼンターとして気を付けたいところです。しきりにジェスチャーを出し過ぎると落ち着きという意味で、どう見えますか?せわしなくて、聴き手も安心できなさそうですよね。実は伝えようと熱意がある方だなぁと見えることもありますが、その違いは、スピードです。常にジェスチャーを出していても、その動作がゆっくりで、静と動が落ち着きをもって繰り返されていれば、伝わる印象も違います。とはいえ、常にジェスチャーを意識的に出ていると、敢えて出している感がこれも潜在的に伝わり、何となく演技しているな、ブロードウェイ感がするな、という印象を与えるリスクもあります。繰り出すジェスチャーの種類もそうです。1つを続けすぎていれば、ないよりは良いかもしれませんが、関連性を感じきれません。例えば、このデータに関する使用者の興味は高いので、と話をするとき、このように手を出すだけでは整合性にかけます。このデータに関する使用者の興味は高いので、とこのように手をあげていただければ、高さのイメージもつきやすく、メッセージ性も高まります。整合性のとれた、メッセージ性のあるジェスチャーをしましょう。聴き手を飽きさせず、常に注意を我々に惹きつける、メッセージ性のあるプレゼンが可能になります。あとはそこに、目的である伝わってほしい印象タイプにあわせてご自身の個性を入れていけばよいのです。プレゼンが楽しくなってきて、より自信がついてくれば、ジェスチャーも更に磨きがかかってきます。聴き手を魅了する、プレゼンと言えばあの方!という説得力とメッセージ性の高いプレゼンター目指して、練習を積み重ねましょう!