Mar 31, 2021
チームメンバーが能動的に仕事に取り組む環境作りには、高いエンゲージメントが大きな影響を持つ要素の一つといわれています。そして同時に、このエンゲージメントを高めるという行為は、リーダーが直面する最も困難なチャレンジの一つでもあるのです。時間とともに低下する傾向をもつチームのモチベーションを保ち、成功への貪欲さと高いコミットメント力を引き上げるには、リーダーは何に気を配るべきなのでしょう。6つのポイントに分けてお話をします。
1つ目のポイントは、『部下からの信頼をまず得ること』です。
想像してみてください。仕事がしやすいかどうかは一旦端に置き、次の2つのうち、仕事率が同じ場合にどちらに『より』相手に信頼を感じますか?自分の考えや意見を受け入れようと、認めてくれようと努めてくれる人物か、それとも自分に関心を示さない人物でしょうか。多くの方が前者を選ぶかと思います。部下一人一人の仕事における価値観を把握することは、信頼をうむ大きな足掛かりとなります。社歴が長くなれば長くなるほど、熱や貪欲さが停滞しやすいというデータも出ています。一人一人の貢献を認識し、その物的そして精神的証拠としてニーズに合った報酬を渡しましょう。
2つ目のポイントは、『部下に権限を与えること』です。
多くの部下は、自分の能力が最大に発揮できる、自分の貢献が認められる仕事をしたいと望んでいます。その為には、仕事をやらされているのではなく自分が責任者なのだという当事者意識を感じてもらうことは大きな影響を持ちます。その為に必要となる物資や資源を提供しましょう。このプロジェクトは私の子供のようなものであり、プロフェッショナルとして責任とプライド持って対応しているのだ、と本人が感じられる『適切な』機会と環境を提供するのです。
そして3つ目のポイントは、『前向きな職務環境を作ること』です。
お互いがお互いの貢献を認め合い、鼓舞・激励できる環境は如何でしょうか。概念的理想のように聞こえるかもしれませんが、個々のニーズと会社のニーズの整合性のバランスが取れた環境であれば、貢献が認められやすく、結果としてやりがいの実感を得やすくなります。そんなチームメイトの姿をみて触発され、『当人に適切な仕事量』に対し奮闘し、その結果が貢献として認められればどうでしょう。プラスの連鎖が起こっていく起爆剤となるのです。
残りの3つはどんなポイントでしょうか。
4つ目のポイントは、『部下が自信を感じられる流れを作ること』です。
デールカーネギーには人に影響を与える30の原則というものがあり、そのうちの一つに『ほんのわずかな改善でも、すべて、惜しみなく、こころからほめる』というものがあります。デールカーネギーは、日本語で言うところの『叱って伸ばすのではなく、ほめて伸ばす』を追求します。なぜか。お互いが気持ちよく仕事が出来るからです。傲慢にはどう対応するのだ?というご質問を耳にします。だからこそ、人間関係という信頼のベースが必要なのです。信頼関係は、一方通行ではなりません。あなたの意見だから聴く。という部下からの信頼もありきなのです。ここでも鍵は、『受け入れる』ことです。『理解』ではありません。共感でもないのです。誠実に『受け入れる』ことなのです。その手助けとなるのが、ご自身にとって出来て当然の当たり前の仕事だとしても、それがたとえわずかな成長だとしても、部下のその努力と貢献を認め、部下の自信を育てる、ということなのです。良いところを見つけるより、あら探しをする方がはるかに簡単です。逆に言えば、これが出来るか出来ないかで非凡な上司と平凡な上司の差が出るのです。
5つ目のポイントは『フィードバックをすること』です。
適切なフィードバックの重要性は、時が経つにつれ高まり続けています。未経験者は、経験者の背中を見て経験を培っていくのです。『コーチング』と『メンタリング』の正しい使い分け、そして練習の機会を設けることは、隠れた才能を掘り起こす可能性にも繋がります。成長や貢献を認め、その部下の求める将来像につながるフィードバックをすることは、ゴールへの最短距離を指示してくれているのだという信頼と自分への自信を生み出すのです。
そして最後の6つ目のポイントは『メンバーのエンゲージメント度数情報と現状にずれがないこと』です。
企業は『組織変更』や『経営理念の変革』といった変化を遂げていきます。そんなときでも、企業に対するコミットメント力が高いことは、人材離れや貪欲さの低下を防いでくれます。定期的なエンゲージメント調査と個人面談を行い、エンゲージメントの把握値と現状に差が出ないよう注意しましょう。部下が『自分が直面している課題』を安心して正直に話してくれるような環境を用意しましょう。正直に話しても悪い影響などなく、安全な環境にいるのだということを共通の認識まで作り上げることが大切です。これは一朝一夕で出来るわけではなく、継続的なプロセスです。時間をかけて認識を作り上げ、そこから先も常にエンゲージメント情報にずれが無いかを確認し、必要に応じた適応策を講じる必要があるのです。